外国人の人権(3) ・最判平成5年2月26日 定住外国人の国政選挙に関する選挙権・最判平成7年2月28日 定住外国人地方選挙権訴訟

 

【選挙権】

・定住外国人の国政選挙に関する選挙権・最判平成5年2月26日 

要旨

国会議員の選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法九条一項の規定は、憲法一五条、一四条に違反しない。

 

判旨

 国会議員の選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法九条一項の規定

が憲法一五条、一四条の規定に違反するものでないことは、最高裁昭和五〇年(行

ツ)第一二〇号同五三年一〇月四日大法廷判決・民集三二巻七号一二三三頁の趣旨

に徴して明らかであり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することがで

きる。

 

・定住外国人の国政選挙における被選挙権・最判平成10年3年13日

要旨

国会議員の被選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法一〇条一項と憲法一五条、市民的及び政治的権利に関する国際規約二五条に違反しない。

 

判旨

国会議員の被選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法一〇条一項、これを前提として立候補届出等に当たって戸籍の謄本又は抄本の添付を要求する公職選挙法(平成六年法律第二号による改正前のもの)八六条四項、八六条の二第二項七号、公職選挙法施行令(平成六年政令第三六九号による改正前のもの)八八条五項、八九条の二第三項二号の各規定及びこれらの規定を上告人らに適用することが憲法一五条に違反するものでないことは、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇月四日大法廷判決・民集三二巻七号一二二三頁の趣旨に徴して明らかであり(最高裁平成四年(オ)第一九二八号同五年二月二六日第二小法廷判決・裁判集民事一六号下五七九頁参照)、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。また、前記各規定が市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五四年条約第七号)二五条に違反するものでないとした原審の判断も、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

 

 

 

 

【外国人の地方参政権】

・最判平成7年2月28日 定住外国人地方選挙権訴訟

要旨

日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項は、憲法一五条一項、九三条二項に違反しない。

 

判旨

 憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものである。そこで、憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(最高裁昭和三五年(オ)第五七九号同年一二月一四日判決・民集一四巻一四号三〇三七頁、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁)の趣旨に徴して明らかである。

 このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(前掲昭和三五年一二月一四日判決、最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三月二七日判決・刑集一七巻二号一二一頁、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五一年四月一四日判決・民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五号同五八年四月二七日判決・民集三七巻三号三四五頁)の趣旨に徴して明らかである。

 以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定が憲法一五条一項、九三条二項に違反するものということはできずその他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤りがあるということもできない



 

・定住外国人の住民投票権 最判平成14年9月27日

要旨

「御嵩町における産業廃棄物処理施設の設置についての住民投票に関する条例」(平成9年御嵩町条例1号)が投票資格者を日本国民たる住民に限定したことが憲法14条1項、21条1項に違反しないことは、先例の趣旨に照らして明らかである。」

 

判旨

御嵩町における産業廃棄物処理施設の設置についての住民投票に関する条例(平成九年一月御嵩町条例第一号)が投票の資格を有する者を日本国民たる住民に限るとしたことが憲法一四条一項、二一条一項に違反する旨をいう部分が理由がないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号五三年一〇月四日大法廷判決・民集三二巻七号一二二三頁)の趣旨に照らして明らかである(最高裁平成五年(行ツ)第一六三号同七年二月二八日第三小法廷判決・民集四九巻二号六三九頁参照)。